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名も無き星たちは今日も輝く
名も無き星たちは今日も輝く
Автор: 内藤晴人

第一章 第一部 蒼い涙 ─1─出会い

Aвтор: 内藤晴人
last update Последнее обновление: 2025-03-18 19:54:35

突然降りだした激しい雨に、ボクはあわてて商店の軒先に駆け込んだ。

ふるふると身震いして水を払い落とすと、ボクは丁寧に毛繕いを始めた。

いつからこの街にいたのかなんて、覚えていない。

物心ついた頃には、ネズミや鳥を狩ったり、ゴミ箱をあさったりして毎日を食いつないできた。

時には魚屋の商品に手を出して、店の主人にどやされることもあるけれど、街の人々は比較的ボクらには友好的だった。

そう、ボクは野良猫。

帰る場所のない根なし草。

さて、今日は一体どこで雨露をしのごうか。

相変わらず降り続ける雨を眺めながら、ボクは思案し首をかしげる。

ちょうどその時だった。

前触れもなく、ボクが居座る軒先に、一人の少年が駆け込んできた。

どのくらい走ってきたのだろうか、頭の先から爪先までびっしょりと濡れた少年は、まるでボクらのようにぶるぶると頭をふる。

同時にせっかく乾きかけたボクの体に、飛沫が飛んできた。

いい迷惑だ。

そう伝えるため、ボクは一声鳴いた。

それでようやく少年は、ボクの存在に気が付いたらしい。

そしてボクも、その時初めて彼の顔を真正面から見ることができた。

歳の頃は十二、三くらいだろうか、どちらかと言えば小柄な少年は、その夜空の色をした瞳でまじまじとボクを見つめてくる。

何か、文句でもある?

ボクは再び鳴いた。

瞬間、何の前触れも無く、少年はしゃがみこみ、ボクと視線を合わせてきた。

彼の濡れたセピア色の髪から、水滴がボクにこぼれ落ちてくる。

だから、迷惑なんだってば。

その場から離れようとした時、ボクの耳に、彼の声が飛び込んできた。

「……君も、一人なの?」

その声に、ボクは立ち上がるのをやめた。

そして、改めて彼を見やる。

質素ではあるが清潔な服を着ているので、『宿無し子』ではないだろう。

腰には何故か、年齢にはそぐわない短剣を差している。

けれど、それ以上に違和感を感じたのは、彼の『声』だった。

抑揚がなく、一本調子の……そう、感情が無い声。

首をかしげるボクに、彼は手を伸ばしてきた。

濡れて冷えきった手が、ボクの頭を撫でる。

「俺も、一人なんだ」

濡れた手が、頭から背に伸びる。優しく、ゆっくりと。

悪意は無いのは解っているのだけれど、これ以上濡れてしまってはたまったもんじゃない。

一つ抗議の声を上げると、彼は困ったような表情を浮かべ、降り続く雨をみやった。

「……いつまで、降ってるのかな……」

呟くように彼は言う。

でも、こればかりは、ボクに聞かれても解るはずがない。

そのまま街の様子を眺めること、しばし。

足早に走る人々。

行き交う馬車。

けれど、いっこうに雨はやむ気配は無い。

「困ったな……」

言いながら彼は、びしょ濡れの髪をかきあげた。

そして、大きくため息をつくと、改めてボクに向き直った。

すい、と彼の両腕がボクに向かって伸びてきた。

しまった。

そう思った時にはもう遅かった。

ボクは彼の腕の中におさまっていた。

濡れた服がまつわりついて、とても気持ち悪い。

抗議の声をあげようとした時、ボクの視線は彼のそれとぶつかった。

夜空の色をした瞳には、どこか寂しげな光が浮かんでいる。

「少し走るけど、我慢しろよ」

そう言うと、彼は軒先から走り出した。

やや激しさを増した雨が、ボクらを打つ。

彼はどこへ行くんだろうか。

ボクはそんな事を思いながら、おとなしく身をゆだねていた。

彼の腕の中で揺られること、十分くらい。

目の前には、高い塀と、こんもりとした緑が現れた。

ボクの記憶が正しければ、確かそこは『宮殿』と呼ばれる場所。

この国の偉い人が住んでいる場所のはずだ。

彼はその裏門から中に入り、慣れたようにその中を駆け抜ける。

朝、昼、夜、と一日三回鐘を鳴らす『聖堂』という建物の脇をすり抜けて、彼はその裏側へと回った。

そこには、白い石造りの建物が並んでいる。

何でこんな所に。

首をかしげるボクとは対照的に、彼は一瞬足を止め乱れた呼吸を整えると、まるでボクらのように忍び足で建物に近寄り始めた。

つられてボクも息をひそめる。

と、その時だった。

「導師さまー。お兄ちゃん、帰って来たよー」

ふと、ボクは顔を上げる。

すぐ真上の窓から可愛い女の子の顔がのぞいていた。

同時に彼は、小さく舌打ちをする。

出かけていたことを、知られたくなかったのかな?

ボクは彼の顔を覗きこむ。

すると今度は、若い女性の顔が、窓から現れた。

「まあ、こんなに濡れて……。一体どこに行ってたの?」

とがめるような、だが優しい声に、彼はそっぽを向きながら答えた。

「……墓参り」

短い答に、『導師さま』は困ったように言った。

「とにかく、中に入って体をお拭きなさい。……あら、それは?」

『導師さま』は、ようやくボクの存在に気が付いたらしい。

ボクを抱く彼の手に、一瞬力がこめられる。

「あー、ネコ! お兄ちゃん、どこから連れてきたの?」

先ほどのかわいらしい声が再び響く。

『導師さま』は困ったようにボクと彼の顔を見比べる。

そして、優しい声で続けた。

「面倒は自分で見るのよ。早く入りなさい。風邪をひいてしまうわよ」

ことのほかあっさりと許可がおりたのに、彼は少し驚いたようだった。

が、無言でうなずくと、彼は入り口へ向かって再び走り出す。

その背中に、『導師さま』の声が投げかけられた。

「そうそう、猊下(げいか)が探していらしたわよ。すぐに着替えて、お伺いなさい」

「わかりました」

短く答えると、彼はボクを抱いたまま建物の中へと入った。

ようやく雨から解放されたボクは、小さくくしゃみをした。

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